工賃と中トロ
工賃はどうやって決めているのか、という話。
flasco工賃=基本工賃x専用工具度x作業難易度
基本工賃(基準値:パンク修理=1000円)
専用工具度 Lv1(六角レンチ1本のみ)~Lv5 (ディスク台座フェイシングツール等の専用工具)
作業難易度 Lv1~Lv5 (flascoの主観による分類)
ほぼこの計算式で考えている。
ホイール組みを例に。
ホイール組みには、振れ取り台・ニップル回し・テンションゲージ・センターゲージが最低限必要(全部合算させると専用工具度Lv5)。もしこれがディープリムのエアロホイールだったら、奥にあるホールにニップルが届くように「ニップルホルダー」が必要になるし、エアロスポークがねじれないようにする「スポークホルダー」も必要になる(作業難易度Lvが上がる)。同じような作業に見えても、工賃に差があるのはこういった事情がある。
これがないと、ディープリムは組立不可能
こんなのもある。個人的にはこっちのほうが使いやすい
エアロスポークの場合、この溝にスポークを挟んで振れ取りしないと、スポークがねじれて大変なことになる。1本ずつ挟み込んで振れ取りしないといけないので、かなり手間が増える。
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専用工具は往々にして高い。そのかわり作業を確実に、かつ迅速に行えるようにしてくれる。たとえばヘッドパーツやBBの工具。どちらもベアリングをまっすぐ抜いたり、まっすぐ入れたりするだけの工具だが、これがあると作業が数分で済む。その一部始終を見ると「たった数分で済む作業なのに、なんでこんなに工賃が高いんですか」と聞かれることもある。
それは正しくない。
「この工具が無かったら何十分もかかるウルトラ面倒くさい作業を、この工具のおかげで数分で済ませることができた」
なのだ。
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「お任せしますので、ばっちり整備しといてください」というのはありがたい。急かされないので、じっくり作業に取り組める。必然的に「ちょっと手間が増えるけれど、これもしておいた方が確実に良くなるな」という「大トロに近い中トロ」になる。
一方で「できるだけ安く」「なるべく早く」と注文されると、何かを削らなくてはならない。同じ中トロでも「赤身に近い中トロ」を提供するしかないのである。
どちらもお客様の要望なので、良い悪いはない。
もし上質な整備を希望されるのなら、急かさないほうがお勧め。
ただし、時折進捗を確認してプレッシャーを与えないと、遅くなるリスクもあるので注意されたし。