攻撃的なダンシング
「攻撃的なダンシングをマスターしたいんです!」
プライベートレッスンで、いちばん多いリクエスト。自転車に明るくない人が聞いたら「ヒップホップかブレイクダンス?」と勘違いされてもおかしくない、意味不明なワード。そもそも、「ダンシング」が和製英語。まぁ、それを言い出すとますます混乱するので、ひとまず「加速のダンシング」と「休憩のダンシング」という表現でいく。いずれにしても、この二つを使いこなせるようになると、もっと楽しい世界が待っている。
この日は中1と中2のレッスン。
前を走っている選手は身体の真下できれいにバイクが振れていて、よどみなく加速していく。後ろの選手もだいたいできているが、ちょっとだけ硬い。
こっちのほうがわかりやすい。二人とも脚の位置は同じだけど、自転車の傾きがちがう。後ろの選手は加速のダンシングをしているつもりで、休憩のダンシングの延長線上になってしまっている。
経験上、ダンシングがぎこちない人の多くは「自転車を傾けているつもりで、自分が傾いてしまっている」。こういう人に「もっとバイクを振れ」とアドバイスしても効果薄。本人は「ちゃんとバイクを振っている」と思ってやっているからだ。
「腕の力を抜いて、脇を開いてごらん」
もういちど、2人を見比べてほしい。できている人は脇やヒジの余裕が違う。じゃぁ脇を開いてヒジを張ればいいのかって、それは違う。本質は、体幹。格闘技のファイティングポーズのような、あの姿勢が必要なのだ。
そう考えると、「攻撃的な」という表現は間違っていないのかもしれない。