クリート位置
仕事の大きなラッシュを一つ超え、少し落ち着いて眺める秋の空。
空を見てふーっと一息つくと、滴が落ちるかのように、ぽとりとアイデアが沸いてくるこの瞬間がたまらない。
ものの発端は、とある人との雑談の中で出てきた。
「ペダリングは母趾球、母趾球って言うけれど、本当に母趾球なんでしょうか」
これまで、クリート位置を決めるうえで業界標準になってきたのは母趾球。
脚で発生させたパワーはシューズ→ペダル→クランク・・・という順に伝わっていく。これは間違いない。気になったのは、シューズ→ペダルの際に「果たして母趾球で踏みつけているのか?」という点。
歩行の研究ではCOP(Cneter Of Pressure:足圧中心)という考え方があって、誰も「母趾球で歩く」なんて言っていないはず。そう、自転車でも本当は「足圧中心」で踏んでいると考える方が自然な気が。
人間工学だったか、バイオメカニクスだったかの教科書に載っていた図。出典を明記すべきですが、メモ書きがどこかへ行ってしまった・・・スイマセン。
これは歩行ですが、ペダリング中もおそらくは同じような位置でペダル軸を踏んでいると思う。たぶん、図の「30」あたり・・・人差し指と中指の間ぐらい。
別の機会に、現在は熱心なサイクリストでありながら、過去にアイスホッケーをやってらっしゃった方とこの話をしたことがある。そうしたら
「まさにその通り。誰も母趾球で滑ってないと思いますよ」
とのこと。あれだけ滑りやすい表面で走るので、さぞかし母趾球で内エッジに力を入れているかと思いきや、そうではないらしい・・・確かに、ブレードの位置は足圧中心の真下ぐらい?
ウェイトトレーニングでスクワットをするときだってそう。母趾球で持ち上げようとすると、膝が内側に入りすぎてNG。むしろベタ足で接地しましょうと指導されるほうが多いのでは?
骨格くんに登場してもらって、母趾球中心に横レーザー、足がクランクと水平になるイメージで縦レーザーを当ててみる。ほとんど母趾球と同じラインとはいえ、足圧中心と思しきポイントはレーザーよりも数ミリ前にある・・・
そんなわけで、私の中では
「COP基準でクリート位置を合わせたほうがいい」
と感じている今日この頃です。