平成の終わりに、平成の名車に乗る
平成が終わる。そんなタイミングで、平成の名車を譲っていただくことになった。
青春時代、高くて買えなかった車。セリカGT-FOUR(205)。WRC(ラリー世界選手権)制覇のために開発されたが、いろいろあってWRC撤退となった悲運の車。
ある日、クエスト日進の横井さんから入電。
「西井さん、セリカ好きだったって言ってたでしょ。乗らない?」
「マジですか! 欲しいんですけど・・・すぐ折り返します!」
と言って電話を切る。そう、ここからがどこの家庭にもある、最大の山場だ。これをしくじり、枕を涙で濡らした夜は数えきれない。かといって悠長に時間をかけていると、次の候補者に連絡がいってしまう。一刻を争う事態だ。
「あのな、俺の青春時代を取り返す時が来た」
「は?」
こういうとき、男はすぐに自分のロマンやノスタルジーを語りたがる。女性はもっと現実的なのに。男とは実に悲しい生き物である。
「車買いたい・・・絶版車・・・」
「いいよ」
なんとあっけなく、交渉成立。
そう、我が家のボスは片づけが大好き。金額ではなく、収納場所が最優先されるという。これまで、自転車の買い替えを交渉してきたときも
「買うのは良いけど、しまう場所がないなら、1台処分して」
このとき、「1台処分」を「一大処分」と聞き間違え、戦慄を覚えたことを思い出す。
幸いなことに、地方に引っ越して収納場所が問題ではなくなった。なにせ、普通自動車でも車庫証明の要らない地域だ。もう一度言う、「普通自動車でも車庫証明が要らない」のだ。
ちょうどそれぞれの移動距離が多くなってきたので、ファミリーカー+軽トラでは追い付かなくなってきたタイミングも後押しし、
「さっきの車、取り置きでお願いします!」
と即決。
無事、納車となった。
この車、前々オーナーさんはパリダカに出ていた方。じつはその方と、2012年に1回だけ訪れたトレイルカッターでご一緒していたという偶然。きっと、来るべきしてきたご縁の車。
横井さんのお声掛けで、前々オーナーさんや、同じ205(最終型)のオーナーさんも集まってプチオフ会。最高の料理と、最高のメンバーがそろって、楽しすぎる会。
今年で22歳になる平成の名車。目標は、スポーツカー大好きな娘が免許を取った時に譲ること。大事に乗らせていただきます。