ロードビギナーがトップ14Tを試すべき理由
これまでいろんな人に
「スプロケットって数種類ありますが、替えたことありますか?」
と聞いてみると、
「スプロケットを変えたことがない」
とおっしゃる方が多い。
なぜこんなことを聞くのか。理由は単純、スプロケットはコースや脚力によって変えるべきものだからだ。シマノだと同じグレードでも歯数構成の違う4~6種類のスプロケットがある。なのに、多くの方は最初についていたスプロケットをそのまま使っているケースが多い。決選ホイールを持っているのに、スプロケットは練習用とまったく同じ歯数構成という方も少なくない。
自転車をスポーツとして楽しむのならば、状況によって使う道具を変えるのは当たり前だ。サッカーでいえば、グラウンドが人工芝なのか、土なのか、それによって使うスパイクを変えるようなものだ。人工芝用のスパイクを土のグラウンドでも使えないわけではないが、条件とマッチさせたほうがベストなパフォーマンスが発揮できる。
では、どのスプロケットにすればよいですか?と聞かれるが、コースや脚力によって変えるべきものなので正解はない。ただし、ロードをはじめたばかりのビギナーや、回転数をキープできない方は、トップ14Tのスプロケットを使ってみるべきだ。
【ビギナーにとってトップ11-12Tは重すぎる】
タイヤは25C、アウターが50T、回転数は90rpmだとして、平坦巡行※でトップ11Tを回し切ることはほぼない。なにせアウタートップ(50*11T)だと52km/hだ。同条件でインナートップ(34*11T)だと35km/h。速度域だけで見たら使えそうだが、それならアウターで同じようなギア比を選択したほうが良い。アウターローやインナートップはチェーンのねじれが最大になってメカに負担がかかるので、あまり使わないほうがよいからだ。下りで50km/h以上でることは普通にあるので、11Tや12Tじゃないと空回りに近い状態になることもある。だが、ビギナーの人が50*11Tを踏み切るほどのスピードで下りを攻めるのは、あまりお勧めしない。ロードバイクを思い通りにコントロールできるようになってからで良い。※ここでいう巡航とは、単独で1時間ぐらいは淡々と走ることを言う。
【回転数キープを覚えやすい歯数構成】
そもそも、スポーツバイクはなぜこんなに段数があるのか。坂や風、走行速度など負荷が変化しても、一定の回転数をキープするためだ。このときに歯数が1つずつ増えていくタイプが、回転数キープを覚えるには最適。トップ14Tだと、14-15-16-17-18-19-20-21Tと、重いほうから8段が1つ刻みだ。これが10-20万円代のロードで装備されていることの多い11-32Tのスプロケットだと、11-12-13-14Tの4段のみ。前述のように、11Tや12Tはビギナーにとって使い切らない可能性のあるギア比だ。実用速度域で1つ刻みになっているほうが、良いはずだ。
もちろん、デメリットもある。下りでギアが足りなくなる可能性は先ほど触れた。もう一つは、アルテグラにしかトップ14Tのスプロケットが存在しないことだ。軽いギアが28Tまでしかないのも微妙なところだが、それより軽いギアが必要なコースに行く場合は、そもそも別のスプロケットのほうが状況にマッチする可能性が高い。
このスプロケットはギア比制限のあるジュニア用として販売されているものだが、ロードを始めたばかりのビギナーや、35km/hぐらいで気持ちよく巡航したい人、あらためてペダリングの基礎を確認したい人にもお勧め。一度お試しあれ。