東ドイツに学ぶ
今回は午前にMTBの学校、午後から名古屋の大忙しDAYでした!
MTBの学校の様子は公式ブログに書いてあるのでそちらをご覧いただくとして、こちらはB面的要素を少し書きます。
(A面、B面という表現がもはや死語ですね・・・)
それにしても、良い季節だ~
MTBの学校ではもちろんMTBの乗り方を教えますが、あまり専門的なことは教えません。自転車に特有の乗車技術は、こども自身が「技を知りたい!」「もっと上達したい!」と内なる欲求が高まってからで良いと思うからです。あまり自転車のことばかりやっていると、自転車しかできない大人になってしまうことが心配だからです。これは自転車に限ったことではなく、サッカーや野球など、競技人口が多く競争率の高いスポーツではもっと顕著だそうです。
なので、今回も途中でこんな状況になったりしますが(笑)
本当は下るところなのに、なぜか登りたがるんですよね・・・
これは、いつも当ブログで書くように、「雑多な遊び」をすることがその子の「体の使い方」という引き出しを増やし、将来的なパフォーマンスに繋がっていくという確信があるからです。そのことを確かめるために、今回は名古屋で開催されたセミナーへ参加してきました。
「ドイツ・スポーツ運動学Ⅱ -スキル学習指導-」と題されたこのセミナー、講師はいわきFCのアドバイザーをされている小俣よしのぶ先生。我々、研究・教育領域のゴールデンスタンダードとも言われている「スキャモンの発育発達曲線」をバッサリ切ったりして、これまでの理論に一石を投じていらっしゃる方です。
参考記事
この記事を読んで個人的に特に興味を持ってしまったのが、東ドイツの話。
小俣 当時はまだ東西冷戦の中であり、1988年のソウルオリンピックではメダル獲得数1位がソ連、2位が東ドイツ、アメリカは3位でした。アメリカはアフリカ系の選手が多く出ているのに、東ドイツは当然ながら東ドイツの選手だけ。にも関わらず、たくさんメダルを獲得している。「これは何かあるに違いない」と思って帰国後に研究を始めました。東ドイツは全く資料が手に入らないので、なかなか大変でしたね。ソ連からマトヴェーエフ博士の論文や文献等は手に入りましたが。
上記のリンクより引用
ウルリッヒの一件もあったようにドーピングの可能性も否定できませんが、ドーピングが日の目を見るような効果を出すためには、そもそもその選手が相当なハイレベルであることが前提条件です。つまり、「相当なハイレベル」に到達するための基礎が東ドイツにはあるのではないか、と感じたわけです。
そして有名なスキャモンの発育発達曲線についても、
――スキャモンの発育曲線は、「The Measurement of Man」という書籍のごく一部分に掲載されているにすぎないのですね。
小俣 彼はもともと解剖が専門です。臓器を取り出して計量し、それをグラフ化したものが「スキャモンの発育曲線」で、人間のプロポーションがどのように変化していくかを見たものです。胴体は、臓器を入れるために大きくなる。ということは、何歳でどれぐらいの臓器の量に達するかわかれば、胴体の大きさを推測でき、順調に発育しているのかどうかの判断材料になります。でも、スポーツ科学は関係ありません。
上記リンクより引用
うむむ・・・もしコレが本当だとしたら、これは相当にまずい。今までこれがスタンダードとして教えてしまっていた。教科書にもそう書いてあるので、なんの違和感も感じていませんでした。
2017/11/14 追記
新たにこんな記事も上がっていました。ぜひご一読下さい。
セミナーの内容を詳しく書くのは控えますが、私も混同して使っていた「テクニック」と「スキル」の違い、「コツ」と「カン」などが整理されて、視界がこれまで以上にクリアになりました。そして、私がいままでお伝えしてきた「雑多な遊び・動きの中にこそ、将来的なパフォーマンスに繋がる答えがある」の考えも小俣氏から太鼓判をいただきました。
また、現在のスポーツ科学の基礎となっている定量的な評価だけでなく、私が現在所属している感性工学研究室でやっているような定性的な話が重要だということも確認できました。
ということで、これからも私のスクール・セミナーでは種々の遊びをとりまぜながら、五感の感度を高めるような内容で進めていきたいと思います。
結論
結局のところスポーツ(≠競技スポーツ)の起源は「遊び」ですから、感性に従って楽しむのがイチバン!