私がタイムを推す理由
前回はクリートについて書いた。今回はその相棒、
実は、クリート選びよりも大事なのはペダル選び。 適当にペダルを選んではいけない。なぜなら、 ペダルがどれほどの「自由度」を持っているかによって、 あなたのライドは全く違うものになるからだ。ペダル選びの基準はただ一つ。痛みや違和感をひきおこさない、 充実したライドを実現できるペダルかどうか。
結論から言わせていただく。この世には2つのビンディングペダルがある。 タイムか、それ以外か。なぜタイム推しなのか。それは、ビンディングペダルの中で唯一、 横へ平行移動できる自由度を持っているからだ。私はこの「自由度」という概念でペダルを選ぶことを勧める。
タイム以外のペダルは、フロート角(クリートの遊び)に違いがあるだけ。つまり、 自由度1※。一方でタイムはフロート角+ 平行移動の2つの動きが組み合わさっているので、自由度2。 この差はとても大きい。埋められない差と言っても過言ではない。前回「フロート範囲」としたのは、そのためだ。※実際にはペダル軸の回転を自由度1として計算しなくてはならないが、分かりやすくするために割愛
平行移動できるとどうなるのか。 ものすごくラフな言い方をすれば、 あなたのペダリングを受け止めてくれる、 許容量が増えると思えばいい。
ご自身のペダリングを思い出してほしい。 ライドに出てすぐのペダリングと、ロングライドから帰ってきたころのペダリングが寸分違わず同じだろうか。 脚は左右同じ長さだろうか。そういう人間側の誤差を受け止めるには、フロート角だけではカバーしづらい。
いったんペダルから離れて考えてみたい。
あなたの目の前にテーブルがあり、水の入ったコップがある。その水を飲むとき、 最低限必要な自由度は3。3次元だからだ。一方で、腕の自由度は7ある(肩関節で3、肘関節で1、 前腕の回内回外で1、手首の関節で2)。 この自由度のおかげで滑らかな動きが実現でき、コップの水をこぼさずに最短距離で口へ運ぶことができる。これがどれほど大きなことなのか、 試しに自由度を3に限定して卓上のコップを口まで運んでみてほしい。 自由度3は以下の設定でどうだろう?
1.脇を上下に開く・閉じる(肩関節)
2.肘を前に出す・後ろに下げる( エルボースマッシュみたいな動き・肩関節)
3.肘を開く・閉じる(なんでやねん!の動き・肘関節)
コップを取るときに、手首の関節を動かしてはいけない。それは自由度+1~2だ。さて、 ストレスなくコップの水を飲むことができただろうか。
ペダリングに話を戻そう。機械のようにずっと同じペダリングができるなら、自由度1(ペダル軸を中心とした回転のみ・・・固定クリート)で良い。しかし、人間は機械のような動きを実現できない。先ほどのコップのように、人間がより滑らかな動きを実現するには自由度が多いほうがそれを実現できる。では自由度が多ければ多いほどよいかと言えば、それも違う。ペダリングの場合、前後と上下の自由度は不要。なので、フロート角と平行移動の自由度2がいちばんバランスが取れていると考える。これはある意味で、関節の動きに近い。
そういう考えから、私は昔からタイム一択。 何度か浮気したこともあったが、膝が痛くなったりして結局タイムに戻った。私がスポーツとして自転車に乗り始めてから25年以上、 膝の故障をせずに今も楽しく自転車に乗れるのは、 ひょっとしたらタイムのおかげかもしれない。
タイムの初代MTB用ビンディングシューズ。この時代はまだ片面ビンディングだったが、この頃からずっとタイムを使用している。
タイム用アダプタのついたロードシューズ。当時はペダルとクリート穴の規格が乱立していたので、こういうシューズもあった。まるで現在のBBやヘッドパーツ?
こちらはタイム専用ソール。現在で言うスピードプレイ専用ソールみたいなもの?
結論
ペダルはタイムがお勧め。